こんにちは!食品ロス削減アドバイザー / 冷蔵庫収納家の福田かずみがお届けします。
今月のテーマは「おから」です。日本の食卓に欠かせない豆腐ですが、実は、多くの食品ロスを出してしまっています。それは、豆腐を作るときにできる“おから”です。
『おからが食用に使われる割合はわずか1%です。』
「捨てられる食べものたち / 著 井出留美」より
「えっ?すると、99%は廃棄されているの?」
と、驚きだったのですが、そんなことはありませんでした。ちゃんと。家畜の餌や農作物の肥料としてリサイクルされているそうです。おからは栄養分が多く飼料や肥料としても最適とのこと。とはいえ、実際には、おからの排出量の5%〜9%は廃棄されているという資料も見つかりました。私がざっと計算してみたところ、少なく見積もっても3万t / 年間、ごみ収集車に例えるとおよそ1万5千台分です。
栄養的にも優れているおからなのに、捨てられてしまうのはまさにもったいないですね。ということで、今月はおからにフォーカスをして、我が家の“もったいないキッチン”をお届けします。
まず、生のおからを食べてみたくて、わが町のお豆腐屋さんに行ってみることにしました。インターネットで見つけたのは、馴染みの街道沿いにある豆腐製造所でした
「この道、何度も通っているのに、全く気づかなかった・・」
少し緊張しながら訪ねてみると、豆腐職人さんがまだ温もりのあるおからを出してきてくれました。
200〜300g位でお願いをしたのに、家に帰って計ってみたら400gもありました。これでお値段驚きの50円です。
このように買いに来るお客さんはどのくらいいるのか尋ねてみると、TVなどで取り上げられると、多くの人が来店するそうですが、ブームが去るとめっきりだとか。すると、このおからは廃棄されてしまうのでしょうか。聞いてみると、隣町の牧場に届けているとのことでした。よかった。
牛がこのおからを食べているところを見てみたいなぁ、と思いながら帰路につきました。
帰宅後、早速出来たてのおからを食べてみました。
ところが、豆腐をつくった抜け殻です。旨味は抜けているし、ボソボソして実に飲みこみづらい。
いくら出来たてのおからでも、これでは食欲が湧かないなぁ・・。
そこで、冷蔵庫にあった親子丼の残りと組み合わせてみました。
この親子丼、実は“つゆだく”に作ってしまったので、このおからで親子丼のつゆを吸わせてみたのでした。
すると、旨味を吸ったおからはとても美味しく、喉ごしも良くなりました。
この“おからに調味液を染み込ませる”発想で、新たに一品つくってみることに。冷蔵庫に常備している蒸し鶏とあわせてヘルシーなひと皿になりました。
『 “おからドレッシング”でいただくヘルシー蒸し鶏 』
蒸し鶏のスライスが並んでいますが、この下に敷かれているのがおからです。
【作り方】
① フレンチドレッシングにスライスした玉ねぎ(今回は紫玉ねぎです。)を浸し、玉ねぎから水分が出てしんなりするまでおく。味をみて濃いようなら、お好みの量の水、または昆布だしを足して薄める。
② おからを加え和える。
③ お皿に②を敷き、蒸し鶏をのせ、彩り野菜と薬味を添える。
蒸し鶏におからのドレッシングをのせ包んでいただきます。おからを沢山食べたいので、味付けは薄めがいいですね。
実際には、手づくりピクルスの調味液にフレンチドレッシングを足してつくりました。
ピクルスは、食べ終わる頃には調味液だけが残ってしまいます。最後に残ったピクルス液を活用しようとすると、プレッシャー?に感じてしまうので、漬けた野菜が減っていくタイミングで、調味液も少しずつ活用しています。
さて、おから料理といえば、刻んだ野菜を炒めて和のお出汁と調味料で煮込んでつくる郷土料理がおなじみですね。
でもこのような煮込み料理は、少しだけ作るというわけにはいかず、沢山できてしまいます。すると、食べきれずに残ってしまうことがあるでしょう。
でも、こんなおからの使い方ならいかがでしょう。
飽きずに食べられる必要な分だけを、お好みの調味液に浸してつくる。
おからの唯一の欠点。パサパサして飲み込みづらい。これを解決するには、美味しい調味液を吸わせるという調理法でした。
沢山作って食べきれずに捨ててしまうのではなく、その都度食べられる量のおからを取り入れてみる。
そのためには、いつもの冷凍室にぜひおからを常備してほしいと思います。
最後に冷蔵庫の収納レッスンをお届けしましょう。
『 冷凍室収納のルール / ブックエンドでたて収納 』
<おからをおいしく冷凍するためのポイント>電子レンジで蒸気が出るまで加熱し水分量を減らします。殺菌効果も望めます。
せっかく美味しい食材を冷凍保存しても、庫内が散らかっていてはいけません。
いつの間にか埋もれてしまい、記憶の中からも忘れ去られてしまいます。
全ての食料品を上から見渡せるように、重ならない収納法を叶えるためにお勧めしているのが“ブックエンド”です。
素材は、冷凍室の仕切りスタンドなどプラスティック製のものがありますが、金属製の方が、冷却効果が得やすいです。
冷凍室にブックエンドを。ぜひ活用してくださいね。
今月は、食べられるのに捨てられてしまう“おから”をテーマにお届けしました。
お住まいの近くでお豆腐屋さんを見つけたら、ぜひ 生のおからを買ってみてください。
スーパーに行けば、乾燥したおからパウダーを買うことができますが、ご近所の生産者さんと触れ合う機会もなかなかいいものです。
よくおからは、小麦粉の代用としてパンや焼き菓子などでも活用されていますが
「お好みの味を染み込ませる」そんな考え方で調理をしたら、食事のシーンでも出番が増えることと思います。
腸も綺麗になるし・・・。記憶力の向上にも良いと言われていますしね。
みなさんなら、どんなお味を染み込ませますか?
参照:日本豆腐協会 食品リサイクル法に係る発生抑制 資料2-6
食品ロス削減アドバイザー/冷蔵庫収納家 福田かずみ
1968年 神奈川県生まれ。 夫・長男・長女と4人家族 横浜市在住。
結婚、出産を経て、2人の子どもを育てながら、料理研究家フルタニマサエ氏のもと料理教室、TV・料理本の撮影アシスタントなどを経験し全国料理学校協会の認定講師となる。同時に、服部栄養専門学校にて食育を学ぶ。
仕事と子育てをこなす多くの方が、気持ちよく食事づくりができる環境に焦点をあて研究。
ストレスフリーの冷蔵庫整理収納術を構築。WEBサイト【美人冷蔵庫LIFE】を立ち上げ、料理家から冷蔵庫収納家に転身する。
昨今、大きな社会問題となっている”食品ロス”。家庭の冷蔵庫から食料廃棄をなくす啓発活動にも積極的に取り組んでいる。